FCVってどんな車?EVとの比較から見るメリット/デメリット解説とおすすめ車種を紹介

更新 2021.11.04 EVの基礎知識
目次

燃料電池車(FCV)に興味はあるけど、まだまだ身近に購入者がいないため情報収集に困っている方も多いのではないでしょうか。この記事では、FCVの特徴やEVと比較しメリット/デメリットを徹底解説します。また、おすすめ車種も紹介します。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


燃料電池車(FCV)とは


 


 


 


 


 


 


 



 


 


 


 


 


 


 


燃料電池車(FCV)とは、燃料となる水素と大気中の酸素の科学反応によって電気を作り、その電気でモーターを動かして走る自動車のことです。そして燃料電池とは、この水素と酸素の電気化学反応によって電力を得る発電装置のことを言います。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


特徴


 


 


 


 


 


 


 


①EVとFCVはモーターで走るという点は同じ


 


 


 


 


 


 


 


前述の通り、FCVは電気を作り出し、その電気でモーターを動かして走ります。電気でモーターを動かすという点は、EVもFCVも同じです。名前が違うので、全く違う動力源で動くのかと思われる方も多いかもしれませんが、実はFCVはEVの仲間だと考えてもいいのかもしれません。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


②発電のために水素と酸素を利用


 


 


 


 


 


 


 


FCVは水素と酸素を化学反応させることで電気を生み出します。酸素は大気中にも約20%ほどあるため、エアーコンプレッサー等で大気中から吸引・圧縮をして車内に取り込むことができます。一方、水素は大気中にたったの約0.00005%しかありません。そのため水素は専用の施設(水素ステーション)で、取り入れる必要があります。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


FCVのメリット/デメリット


 


 


 


 


 


 


 



 


 


 


 


 


 


 


メリット


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


①環境に優しい


 


 


 


 


 


 


 


FCVが走行中に排出するのは水だけです。ガソリン車のように、CO₂や光化学スモッグを発生させる炭化水素、窒素化合物などは一切排出しません。空気を汚すことなく走ることができるので、実にクリーンな乗り物と言えます。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


②EVに比べて充填(充電)時間が圧倒的に短い


 


 


 


 


 


 


 


EVは普通充電の場合だと、満充電まで約7時間から約15時間ほど必要です。急速充電でも、一回30分程度かかります。しかし、FCVならば満充填で約3分とガソリン車並の速さです。EVのネックの一つに、この充電時間の長さがよく指摘されますが、FCVならこの問題とは無縁です。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


③EVに比べて航続距離が長い車種が多い


 


 


 


 


 


 


 


EVの中には、満充電で約660キロを走ることができる車種も存在しますが、ほとんどのEVは約300キロほどの航続距離です。しかし、新型ミライならば満充填で約850キロも走ることができます。他の車種でも約650キロほど走る車がほとんどで、EVとは大きな差があります。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


④新車購入の際、様々な補助金や優遇を受けることができる


 


 


 


 


 


 


 


FCVは新車購入の際に、様々な補助金等を貰うことができます。例えば、トヨタMIRAIを新車購入した場合だと、エコカー減税やグリーン化特化・CEV補助金など、合計約120万円も補助金が貰えます。更にこれに加えて自治体ごとの補助金もあり、東京都にお住まいならば、約135万円もの補助金を受け取ることができます。全てを合計すると、約255万円という、車一台分に相当する金額になります。まだまだ、価格が高いFCVですが、これらの補助金によって少しは買いやすくなりました。EVも補助金制度がありますが、FCVほどの金額はないことからも、FCVの優遇さが分かります。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


デメリット


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


①価格が高い


 


 


 


 


 


 


 


FCVはまだまだ新車価格が高いです。上記のメリットにもあるように、多額の補助金が貰えますが、それでも高級車の価格帯であることには変わりないです。トヨタMIRAIの最低グレードを購入する場合でも、補助金を差し引いても約500万円ほどします。なかなか、一般庶民には厳しい金額であるのは明らかです。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


②水素ステーションが少ない


 


 


 


 


 


 


 


水素ステーションは、2020年現在で日本全国で約150~160箇所です。EVの充電スタンド数とガソリンスタンド数の、約3万箇所と比べても圧倒的に少ないことが分かります。これは、水素ステーション建設に掛かる多額の費用が原因とされています。とは言え、16県には未だに水素ステーションが0というのは車両購入の大きなハードルの一つであることは間違いないです。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


FCVのおすすめ車種


 


 


 


 


 


 


 



 


 


 


 


 


 


 


2021年10月現在、日本で正規で新車購入できるのは、トヨタのミライだけです。少し前までは、ホンダのクラリティなどがありましたが販売を終了してしまいました。韓国の現代自動車がFCVで日本市場に再参入するかもしれないと言われていますが、いつなのかは分かりません。そんな寂しい状況ではありますが、今回はおすすめ車種として市販FCVの祖であるトヨタのミライを紹介します。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


トヨタ ミライ


 


 


 


 


 


 


 


現行トヨタミライは、2020年12月に発表されました。先代よりも水素搭載容量を増やしたことや、システムの刷新などによって、航続距離を先代よりも約30%アップすることができました(先代の630キロに対し、新型の最も航続距離が長いものは850キロ)。さらに内外装の質感を高め、高級輸入車ライバルや身内のレクサスに負けない上質感を手に入れました。少し高級なセダンを考えていた方や、新しい技術や環境保護に興味がある方にもおすすめできます。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


まとめ


 


 


 


 


 


 


 



 


 


 


 


 


 


 


今回はFCVについて詳しく見ていきました。コストの問題やインフラの問題など、課題がまだまだ多いのも事実です。そのため、なかなか新型車も水素ステーションも増えません。もちろんですが、ユーザー数もあまり増えていません。しかし、今後の地球環境のことやSDGsの問題を自動車という分野から支えていくと考えた時に、水しか排出しないクリーンなFCVはその選択肢の一つであることは間違いないでしょう。だからこそ、ガソリン車が絶滅している頃には、FCVやEVがガソリン車並の性能や利便性を持っていることに期待したいですね。

[電気王編集部]